うまんちゅの惑星

40代。午年生まれ。夢を失い失望の連続で惑星の果てを彷徨ってる気分だが、“なんくるないさ”の気持ちで日々の出来事を綴る

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プリズンホテル

浅田次郎著の夏・秋・冬・春の全4巻の文庫版「プリズンホテル」を読み終えた。

ヤクザが経営する温泉ホテル「奥湯元あじさいホテル」、通称「プリズンホテル」を舞台に、主人公木戸孝之介を中心に従業員や宿泊客らが織り成す人情喜劇だ。

ドアには厚い鉄板、窓は防弾ガラス仕様と、ありえない話で物語の中に引き込む巧さ、そして読み手のツボを完全に押さえられている自分が単純すぎるのであろうか…
1巻毎に笑って笑って、泣いちゃう。

これから読まれる方へ、
周りからは“こいつ、変”と見られるので、くれぐれも公共の場では読まないことを願う。



プリズン夏

プリズンホテル 【1】 夏

浅田次郎 著


■ISBNコード:978-4-08-747329-2
■判型/総ページ数:文庫判/315ページ
■価格: 552円(税込)
■発売年月日:2001年6月25日第1刷
          2008年6月14日第25刷
■発行元:集英社文庫




極道小説作家・木戸孝之介は愛人の田村清子と共に、身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が経営する温泉ホテル「奥湯元あじさいホテル」、通称「プリズンホテル」へ赴く。

そこは一般人が近寄らない、なんと任侠団体専用のホテルだった。


第1作目は、小指がない代わりに刺青ずくめの番頭に、元ヒットマンのバーテン、タガログ語を操る仲居たちの中に、熱血ホテルマンの花沢一馬、天才シェフの服部と和食料理人の板長、梶平太郎らのキャラクター紹介が描かれるなか、大手商社を定年退職したばかりの夫と、熟年離婚を企てる妻の老夫婦のエピソードを交え、様々な人間模様が織り成す笑えて泣ける人情喜劇。

特に心中志願の一家の話や前オーナーの家族たちのエピソードにはググッときちゃうし、仲蔵親分の語る支配人に対しての思いやりは熱いものがこみ上げる。

しかし主人公・木戸孝之介というキャラクターには感情移入どころか不快でハラワタガ煮えたぎるぐらい許せない奴だが、その辺が著者の思うツボだろう。
ちなみに木戸孝之介という名前は、売れる前の浅田次郎が二十年余り使用してきたペンネームだそうだ。




キーワード


「“プリズンホテルかね…” “いいえ、プリンスホテルじゃなくって、あじさいホテルです”」

「富士見の間」

「東神田木戸衣料謹製」

「静かな部屋…空いていますか。それから、酒と、食事も…」



本書の採点
★★★★





プリズン秋

プリズンホテル 【2】 秋

浅田次郎 著


■ISBNコード:978-4-08-747339-1
■判型/総ページ数:文庫判/435ページ
■価格: 724円(税込)
■発売年月日:2001年7月25日第1刷
          2008年6月14日第24刷
■発行元:集英社文庫




二作目はボリュームてんこ盛りの内容になっている。
「プリズンホテル」へ集うのは、なんの因果か、任侠大曽根一家御一行様と警視庁青山警察署の酒グセ最悪の慰安旅行団御一行様。
そして、いわくありげな旅まわりの元アイドル歌手とその愛人に仲蔵親分の秘めた恋物語も明かされ、花沢支配人も青ざめる大騒動の展開へ…

“ごめんなさい先生。ぶってください。”と、けなげな美加ちゃんはかわいい。
やはり松倉警部補には笑える…こういうキャラクターはいいよなぁ。


読んでて改めて思うのは、今の世の中、理不尽なことや息苦しい空気感で覆われ、義理人情という言葉が遺跡のようになっている現実だ。




キーワード


「学校の先生と医者と警察。これを称して三大無礼講と呼ぶ」

「千代鶴是秀」

「ミッキーマウス」

「フォンデュ」

「八代目関東桜会総長、相良直吉」

「極道エレジィ」



本書の採点
★★★★





プリズン冬

プリズンホテル 【3】 冬

浅田次郎 著


■ISBNコード:978-4-08-747358-2
■判型/総ページ数:文庫判/310ページ
■価格: 552円(税込)
■発売年月日:2001年9月25日第1刷
          2008年10月7日第25刷
■発行元:集英社文庫




夏秋冬春で構成されたシリーズ三作目は前作までの色合いが幾分違う。

木戸孝之介と“百人の男とすれちがって、百人の男を振り返らせるほどの美人”の田村清子と共に、真冬の「プリズンホテル」につどうのは、大都会の野戦病院=救命救急センターで、心も体もボロボロ状態になった別名〈血まみれのマリア〉こと阿部看護婦長をはじめ、天才登山家、武藤嶽男、患者を安楽死させた医師、自殺願望の少年、出版社の秘密兵器の編集者等、いずれも事情ありのお客達。

フランケンの安吉と鉄砲常の掛け合い当たりは笑えるが、仲蔵親分まで妄想の悪夢に引き込む冬の季節を背景に、命への慈しみ、医療問題等、しんみりするエピソードで綴られる。
と、言ってもそこは舞台が「プリズンホテル」、今回も巧みな隠し味が散りばめられている。

本文中にある“山男たちのレクイエム”が実際あることは知らないが、いい詩だ。




キーワード

「死んでもいいというのと、死にたいというのは大ちがいだ。最高の男と最低の男のちがいだぞ。」

「あじさい山岳会」

「思い込み症候群」

「ロジェ・デュプラ」



本書の採点
★★★★





プリズン春

プリズンホテル 【4】 春

浅田次郎 著


■ISBNコード:978-4-08-747378-0
■判型/総ページ数:文庫判/403ページ
■価格: 686円(税込)
■発売年月日:2001年11月25日第1刷
          2008年6月14日第23刷
■発行元:集英社文庫





最後のセリフの為に、主人公・木戸孝之介の歪んだキャラクターが存在した一冊だ。

今回は、忽然と姿を消した義母の富江の行方を気にしながら、著書の“仁義の黄昏”と“哀愁のカルボナーラ”が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補に絡み、孝之介や関係者達は選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ向かう。
今回は訳ありの懲役五十二年で出所した老博徒と、負債をかかえた職人経営者や、繁の担任の田舎教師、そして演劇母娘らが物語に絡む夏秋冬春で構成されたシリーズ完結編。

主人公木戸孝之介が語る母親像が、夢想なのか現実なのかがクロスしながら僕の頭で想像するので、最初に読んだときの嫌悪感はさすがにない。
ただ、このマザコン男に対する女性読者の抱く感情がどういうものだろうかと興味は尽きない。


最後にありふれてはいるが
足りない指と無骨な手でマックをいじる番頭・黒田は、林檎派にとっては喜ばしい (笑)




キーワード


「富江」

「しかし、ついに真心の通じぬ一人のお客様に出会ってしまった。もう笑顔も礼儀も、どんなサービスも受け入れられまいと思ったとき、支配人は身を鎧う奉仕の衣装さえもかなぐり捨てて走ったのだった。」

「放免桜」

「仁義の黄昏、哀愁のカルボナーラ、郷愁のペスカトーレ、涙のぺペロンチーノ」



本書の採点
★★★★





以上、まとめて評価したが、幾分採点が甘いかなぁと、思う。

四作の中ではやはり「プリズンホテル 【1】 夏」がお気に入りだ。

1巻毎に1話完結形式だが、夏・秋・冬・春の順番に読んだ方がいい。



出来れば“渡る世間は鬼ばかり”の後番組として、この「プリズンホテル」を原作に完全忠実な連続ドラマ化を希望したいなぁ…主人公木戸孝之介には作家の“椎名誠”、仲蔵親分は“西田敏行”、番頭の黒田は“安岡力也”など、自己流キャスティングを想像している(笑)



それでは皆さん、読んでくれて
           「アリガトゴザイマシタ、マタドーゾ、オコシクダサイマッセー」





備考

★★★★★ 有数の傑作
★★★★ 読み応えあり
★★★ まぁまぁかな~
★★ 思ったより期待はずれ
★ ダメだ、こりゃ



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