

原題:The Revenant
公開:2016年4月22日
製作国・年:アメリカ映画・2016年
配給:20世紀フォックス
上映時間:2時37分/CS/DOLBY・SRD
鑑賞日:2016/4/29 シネマイクスピアリ(S3)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック、ポール・アンダーソン、クリストッフェル・ヨーネル、ジョシュア・バージ、ルーカス・ハース、ブレンダン・フレッチャー、デュアン・ハワード、アーサー・レッドクラウド、グレイス・ドーブ
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1823年、アメリカ北西部の荒野を数十人を越える毛皮狩の狩猟団の中で、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は息子のホーク(フォレスト・グッドラック)と共に、狩猟団組織のガイドの一員として働いていた。
川沿いでキャンプを張っていた時、突如、先住民の襲撃にあって狩猟団メンバーの大半が殺されてしまった。
生き残ったメンバー達はグラスの先導のもと、船を捨てて山岳越えのルートで逃げようとするが、未開の森に足を踏み入れたグラスは熊に襲われた。
喉を食い破られ、足腰をへし折られて瀕死の重傷を負ってしまい、足手まといになると判断した狩猟団の隊長ヘンリー(ドーナル・グリーソン)は「死を見届けて、埋葬したものには一人100ドルを出す」と告げて、息子のホークとブリンジャー(ウィル・ポールター)、そして、フィッツジェラルド(トム・ハーディ)の三人が森に残った。
しかしグラスのことを快く思わないフィッツジェラルドは、身動きできないグラスの前でホークを殺して、グラスを土の中に埋めて置き去りにした。
極寒の未開拓地で生死の境をさまよっていたグラスは地面を這いずりながら、時には草を食べ、死骸の骨の髄にある肉片を食べ、冷たい川辺に石で囲った罠場で生魚を生で食べ、殺されたバッファローの生肉を食べながらあらゆる手を尽くして飢えや寒さに耐え抜いて、フィッツジェラルドへの復讐心の為に、過酷な大自然の中を突き進んでいく・・・
第88回アカデミー賞では同年度最多の12部門にノミネートされ、監督賞、撮影賞、そしてディカプリオが念願の主演男優賞を初受賞した。
監督は「バベル」「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
イニャリトゥ監督は前年の「バードマン」に続いて2年連続の監督賞を受賞、撮影のエマニュエル・ルベツキも3年連続となる撮影賞を受賞した。
尚、音楽を担当したのは坂本龍一。
映画序盤の先住民らに襲われるシーンは、スピルバーグの「プライベート・ライアン」を彷彿させる、戦場にいるような臨場感を感じた。
カメラが生き物の様に縦横無尽に動く描写が戦闘中の現場の真っただ中に居合わせたように圧倒されてしまった。
これは尋常ないくらい面白いかもしれないと久々にワクワクしながら座席で姿勢を正した。
しかし、上映開始30分以降はそのワクワクした気持ちが急激に落ちていった。
見終わったあとに思ったのは、アメリカ開拓時代を背景にして先住民達との争いや交流を描いた映画で「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)や「ミッション」(1986年)、あとは「ラスト・オブ・モヒカン」(1992年)を鑑賞した時のような、感情移入ができなかったこと。
先住民の襲撃描写や襲い掛かってくる熊の描写のリアルさ、緊迫感は見応え十分だし、木々の揺れる枝葉や川を流れる水音、森や荒地に響くライフルの残音やディカプリオの呼吸の音など、極寒の中での撮影困難な状況での撮影技術や音響といったテクニカル面は凄いなぁと思わせる一方、熊に襲われて、あれだけ瀕死の重傷を負ったグラスが最後には普通に歩けるようになっていて、物語が進む時間軸上、怪我の治癒の仕方が何だかご都合主義な感じを受けた。
父親(グラス)の息子に対しての情が強く伝わるような親子関係の深さや、切なくなるような動機が伝わらない。
ここまで素晴らしい映像を見せながら、死んだグラスの妻が空中に浮いてる幻覚シーンや、空を隕石が通過するシーンなど、メタファーとしての効果がストーリーに与える高揚感を感じさせないのは本当に残念だなぁと感じた。
吹雪から身を守る為に、死んだ馬の腹を切り裂き、その中に全裸で入るグラス。
確かに演じるディカプリオの体から発せられる匂いや体温を感じさせる芝居ではあるけれど、“汚れかた”がどこか上品なだなぁってと思いながらディカプリオの表情を見ていた。
映画製作に当たっては人工照明を使用せずに、太陽光や火による自然光を使って撮影したとのこと。
撮影賞の受賞はまぁ妥当かも知れないが、やはり監督賞はジョージ・ミラーに獲って欲しかったなぁと、改めて思う。
ものすごく疲れていて、アクビが止まらず眠くて、15分程の仮眠をとっての鑑賞のせいなのか?
時間を置いてどういう感情を受けるのか、再度鑑賞してみたい。
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■ キーワード
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「俺の親父は、仲間が殺されて一人で荒野をさまよったとき、荒野の中で一本だけ立っている木にのぼって、神を見つけたと叫んだんだ。“何を見つけたと思う? まるまると太ったリスだ。親父はリスをみて神だといったんだ。そしてリスを殺して食ったんだ”」
「人はみな、野蛮なり」
「白人たちは肌の色で判断する。だから、お前の話なんてだれも聞かない。」
「神は与えもするが、奪いもする」
「嵐の中の木を見るがいい。揺れる木の枝が折れることはあるが、でも幹を見るとびくともしない。力強く根をはった木はどんな風でも倒れない」
「復讐は神の手の中にある」
「息が続く限り、戦い続けろ」
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■ 映画の採点 ★★★☆☆☆
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備考
100点満点で点数は★20点 ☆5点
★★★★★ 有数の傑作
★★★★ 見逃せない
★★★ 見応え充分
★★ 話題作だけど…
★ ダメだ、こりゃ…
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