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うまんちゅの惑星

50代。午年生まれ。夢を失い失望の連続で惑星の果てを彷徨ってる気分だが、“なんくるないさ”の気持ちで日々の出来事を綴る

42 世界を変えた男

42


原題:42
公開:2013/11/1
製作国・年:アメリカ映画・2013年
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:2時8分/CS/デジタル
鑑賞日:2013/11/15  シネマイクスピアリ(S7)

監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ、アンドレ・ホランド、ルーカス・ブラック、ハミッシュ・リンクレイター、ライアン・メリマン


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第二次世界大戦終戦の1947年。
“球団を勝利に導くならば選手の肌は白でも黒でもいい!”
大リーグ球団ブルックリン・ドジャースの社長兼GMのブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、周囲の反対を押し切ってニグロ・リーグ(アフリカ系黒人の野球リーグ)の、カンザスシティ・モナークスで活躍していた黒人青年ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)とドジャース傘下3Aのモントリオール・ロイヤルズと契約した。
ジャッキーは3Aで好成績で活躍し、インターナショナルリーグ制覇に大きく貢献したあと、1947年にメジャー昇格した。
リッキーは黒人初のメジャーリーガーとなる契約をする前に、ジャッキーをオフィスに呼んで、 「君にはこれから困難な戦いが待っている。君は怒りを抑えねば戦いには勝てない。できるか?」 と問う。
ジャッキーは「やり返さない“腰抜け”でいろとでも?」 と答えるが、
リッキーは「ちがう。やり返さない勇気を持つのだ。差別も凄くて困難だろうが、相手の低いレベルに自分を落とすな。」
「君が戦いに勝つ方法は2つしかない。 立派な紳士であり、偉大な選手だと示すことだ。」と諭す。
大リーグ初の黒人選手ジャッキーには、野球ファン、対戦チームから中傷されて、チームメイトからも誹謗中傷の嫌がらせを受ける。
だが、人種差別中傷に対して決してやり返さない態度が共感を呼び、次第に人々の気持ちを変えていく・・・

毎年、4月15日は敵も味方も関係なく、グラウンドにいる大リーグの全選手が背番号「42」をつけてプレーをする“ジャッキー・ロビンソン・デー”。
ブルックリン・ドジャースで1947~1956年の10年間プレーしたジャッキー・ロビンソンは、俊足好打の選手として1年目から新人王を獲得するなどの活躍。
ニグロリーグ時代から始まり、ドジャースでのキャリアが花開く時代までの活躍が描かれ、野球界のみならず社会にも大きな影響を与え、大リーグ全球団でただ一人、永久欠番になった黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを称えた日だ。
そのジャッキー・ロビンソンの半生を、ブルックリン・ドジャースの社長兼GMのブランチ・リッキーとの交流を軸に描いた映画。
ジャッキー・ロビンソンをチャドウィック・ボーズマンが演じ、彼を大リーグに引きずり込むドジャースの社長兼GMのブランチ・リッキーをハリソン・フォードが貫禄ある老け役を好演している。


給油のために立ち寄ったスタンドで、黒人だからという理由でトイレの使用拒否をされたり、ロビンソン夫妻が空港で搭乗を待っている時、“白人専用”と書かれたトイレを利用した妻のレイチェルの姿を見ていた空港の女性職員の搭乗拒否する意地の悪い対応や、
父親と野球の試合を観戦していた白人少年はジャッキー・ロビンソンの名前がアナウンスされると「ニグロ! 出て行け!」と叫ぶ場面はもちろん少年が、周りの大人たちの歓声が野次に変わった空気を察知しての事ではあるが、偏見と差別を描いたエピソードが随所に散りばめられている。

球場の観衆の野次や、フィラデルフィア・フィリーズの監督ベン・チャップマン(アラン・チュディック)からのえげつない野次にジャッキーが掻き乱されるなか、妻レイチェル(二コール・ベハーリー)が客席で「落ち着いて。私を見て・・・」と念じている。
“闘っているのは君だけじゃない・・・僕も三塁側観客席でタイプを打っている・・・”記者席に入れない黒人記者ウェンデル・スミス(アンドレ・ホランド)も人知れず差別と戦っていると告げる。

“右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ”
“聖書には淫姦についても書いているぞ”
“イエスは40日間の断食に耐えたのだ。君も耐えろ。”
“神は野球ファンだと思うか? お前が死んであの世で神の前に立った時にどう説明する? 神は喜ばんぞ。”など、ハリソン・フォード演じているメソジスト派のブランチ・リッキーのセリフに、聖書からの引用が多かったのも印象に残る。

大リーグ初の黒人メジャーリーガーをめぐる白人社会の差別と反発を描く伝記映画としてはオーソドックな作りだが、感情を揺さぶる映画的な面白さはなかった。
「フィールド・オブ・ドリームス」や「ナチュラル」など野球映画的にはフィクション性が面白いけど、この作品で描かれている差別の描かれ方が、実際、人種差別はもっと壮絶な苦悩や葛藤があったのだろうけれど、ありきたりの表現にしか感じられなかったからかも知れない。


映画は他球団オーナーからの圧力も描かれるが、某球団の独裁者ナベツネの暴言や野村克也の囁き、阪神ファンの野次までを描いた日本映画も製作してほしいと何気に思ったけど、日本の映画界にはそんな勇気さえないだろうなぁと諦めるしかない







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■ キーワード
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「カネに黒も白もない。カネは緑なんだ。1ドル札は緑色だ」


「君が戦いに勝つ方法は2つしかない。 立派な紳士であり、偉大な選手だと示すことだ」


「彼のおかげで、ロビンソンは“同情”を得ることができる。むしろ感謝すべきかもしれない」





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■ 映画の採点  ★★★☆☆
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備考

100点満点で点数は★20点 ☆5点

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  見逃せない
★★★   見応え充分
★★    話題作だけど…
★     ダメだ、こりゃ…



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冬が来る前に聴きたい音楽

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イクスピアリ


■  冬が来る前に  (紙ふうせん)

■  秋桜  (山口百恵)

■  Another Orion  (藤井フミヤ)

■  楓  (スピッツ)

■  September  (竹内まりや)

■  冬がはじまるよ  (槇原敬之)

■  いつか何処かで/I FEEL THE ECHO  (桑田佳祐)

■  ONE DAY  (桑田佳祐)

■  蒼氓  (山下達郎)

■  ヘッドライト・テールライト  (中島みゆき)

■  寝た子を起こす子守唄  (豊島たづみ)


■  We're All Alone  (Boz Scaggs)

■  Open Arms  (Journey)

■  Alone  (Heart)

■  Amanda  (Boston)

■  Arthur's Theme (Best That You Can Do)  (Christopher Cross)

■  If We Hold On Together  (Diana Ross)

■  冬の散歩道  (バングルス)

■  枯葉  (イヴ・モンタン)


■  あこがれ/愛(AUTUMN)  (ジョージ・ウィンストン)

■  Only Time  (Enya)

■  Wild Child  (Enya)

■  Watermark  (Enya)

■  Storms In Africa  (Enya)

■  A Day Without Rain  (Enya)

■  Paint The Sky With Stars  (Enya)


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そして父になる

そして父になる


原題:そして父になる LIKE FATHER. LIKE SON
公開:2013/8/30
製作国・年:日本映画・2013年
配給:GAGA
上映時間:2時00分/V/デジタル
鑑賞日:2013/10/5  シネマイクスピアリ(S8)

監督:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、二宮慶多、黄升げん、夏八木勲、風吹ジュン、國村隼、樹木希林


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“やっぱりそういうことか・・・”
ある日、病院からの電話で、6歳になる息子慶多(二宮慶多)が出生時に取り違えられた他人の子どもだと判明した時、野々宮良多(福山雅治)は、優しすぎる息子に抱いていた不満の意味を悟った。
一流大学を出て、大手建設会社に勤務し、都心の高級マンションで妻のみどり(尾野真千子)と息子慶多との三人暮らしで、人生の勝ち組で誰もがうらやむエリート街道を歩んできた野々宮良多にとっては苦悩と葛藤の始まりであり、妻のみどり(尾野真千子)は気づかなかった自分を責めた。
取り違えの起こった相手方は群馬で小さな電気店を営む斉木雄大(リリー・フランキー)と妻のゆかり(真木よう子)夫婦には、三人の子供がいて、取り違えられた子は琉晴(黄升げん)と名付けられていた。
良多は、過去の取り違え事件では100%血のつながりをとるという意見と、どうせなら早期の交換がいいと言うを事を斉木夫婦に提案する。
両家族は子供の交換の為に戸惑いながらもまずは交流から始め、数日間の交換をしながら、様子を探りはじめた。
慶多に一心な愛情を注いできたみどりと、粗野だが温かでにぎやかな家族を築いてきた斉木夫婦は、育てた琉晴を手放すことに苦しむが、いよいよ、互いの子どもの“交換”する日が決まった・・・

息子が出生時に病院で取り違えられ、別の子どもだったことを知らされた父親が抱く苦悩や葛藤を描く物語を福山雅治主演に是枝裕和監督が手掛け、本年度の第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されて、審査員賞を受賞して話題になった。


良い映画だが物足りない。
ましゃファンに悪いけれど、原因は良多を演じる福山雅治の演技が上手くないことだ。
父としての葛藤、心情の変化の過程がテレビドラマの延長線上の感じしか受けない。
尾野真千子、真木よう子の女優たちが上手すぎるので余計に福山雅治の粗さが目立ったと思う。
子役は慶多役の二宮慶多はつぶらな瞳が印象的で、“何で?”“オーマイ・ガッ”が口癖の琉晴役の黄升げんは粗雑さを演じていたが、同じ年齢という設定にはバランスが悪いなぁと何気に感じた。
また、中村ゆり演じる看護婦が意図的に犯したエピソードはなくして、
取り違えの原因を曖昧にして、取り違えられた二つの家族の苦悩と葛藤、そして慶多と琉晴の繊細な表情の描写に絞ったほうがよかったと思う。

当事者の子供にとっては取り違えられたほうがいいのか?
それとも、橋の下から拾われたほうがいいのか?
映画を見終わったあと、「赤ちゃんの取り違え」と言えば、山口百恵の赤いシリーズドラマ「赤い運命」を思い出したのと同時に、小学生低学年の頃、怒られたときに、冷たい土間の上でひざまずきさせられ、時には蝋燭の“ヤ~チュ~”攻撃の他に、アンタは橋の下から拾ったから、も~いーさ~と日常茶飯事のように言われ、
小さい頃は本当の親なのだろうか?と一度や二度考え、子供心に思っていた感情が蘇ってきた。

血のつながりか?、それとも愛した時間なのか?
顔や表情が似ているとか似ていないとか、そんなことにしかこだわれない男が多いなか、
子供と繋がっているって感覚は子を産んだ女にしか解らないのは十分理解できるようになっただけでも、
僕は内面が僅かに成長していると実感するとともに、
そして、僕はいつ 父になれる のだろうか?と思う今日この頃である。







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■ キーワード
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「“資料1、野々宮良多”“資料2、野々宮みどり”と、“資料3、野々宮慶多”は、生物学的親子でないと鑑定する」


「どうせだったら、両方とも引き取っちゃえよ」


「 いいか、血だ。
   これからどんどんその子はお前に似てくるぞ。
    慶多は逆にどんどん相手の親に似ていくんだ 」


「琉晴は沖縄の空のような晴れた日に生まれたから子供だから、琉球(沖縄)の“琉”に晴れの“晴”を名前にしたの」


「 琉晴が可愛くなってきた。
   慶多に申し訳なくって・・・
    あの子を裏切っているいたいみたいで・・・ 」





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■ 映画の採点  ★★★☆☆
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備考

100点満点で点数は★20点 ☆5点

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  見逃せない
★★★   見応え充分
★★    話題作だけど…
★     ダメだ、こりゃ…




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