
原題:The Artist
公開:2012/4/7
製作国・年:フランス映画・2011年
配給:GAGA
上映時間:1時間41分/V.V/デジタル
鑑賞日:2012/5/2 シネマイクスピアリ(S16)
監督:ミシェル・アザナビシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、マルコム・マクダウェルン
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時代が変わっても映画はストーリーが一番だと思う。
敬遠しがちな古い映画を初めて見た記憶は、幼いころにテレビで見たチャップリンの映画。
年月が経ても感情に染み入る記憶は忘れていない。
色彩がなくても、無声でも、頭と心の中で想像力を働かせて感性で受け止めれば誰の心にも響くと思う。
サイレントからトーキーへ。
白黒からカラーへ。
フィルムからデジタルへ。
そして2Dから3Dへと変わりつつある今、古き良きハリウッド黄金時代のアメリカ映画への愛あふれる題材にした白黒のフランス映画「アーティスト」を、ソニー4Kデジタル方式で鑑賞した。
物語は
1927年のハリウッド。
映画界の大スター、ジョージ・ヴァレンタイン(ジャン・デュジャルダン)は、女優志望の若い女性、ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)と出会う。
ジョージに見出されたペピーは女優への道を順調に歩むが、折しも映画産業は無声からトーキーのへの移行期へと変わりつつあった。
トーキー映画が話題になるとともにペピーはスターダムへと駆け上がっていく一方で、無声映画に固執し続けたジョージは落ちぶれていく・・・
サイレント映画の大スターが映画の変革期の波にのみ込まれて没落する姿を描き、2012年の第84回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、衣装デザイン賞、作曲賞の主要5部門を受賞した。
白黒でサイレント映画である本作だが、シーンごとに状況を的確に表すクラシックのBGMと、物語の進行上必要最低限のセリフのみが中間字幕という形で描かれ、役者の表情や仕草を追うだけでも十分楽しめる。
階段を下りていくジョージと、登って行くぺピーを絡めている階段室のシーンでの運命の暗示や、ジョージの楽屋のハンガーにかかっているタキシードに片腕を通して、抱きしめられているかのように自らの腰にその腕を回すシーン、そして、「名案があるの!私を信じて」というラストに胸高鳴る構成の仕掛けで晴れやかな気分に包み込まれるダンスシーンと、カンヌでパルムドッグ賞という“金の首輪”賞を獲得した犬のアギーの演技が、キャラクター設定に多少共感できない部分をカバーしている。
アカデミー賞ではフランスが舞台のジョルジュ・メイエスへのオマージュあふれるアメリカ映画 「ヒューゴの不思議な発明」と競い合ったが、やはりこの「アーティスト」が勝っていた理由が理解できる。
冒頭の小編成のオーケストラが劇伴についてるジョージの劇中映画の上映シーンをみていて、グランドオリオンにも、舞台の前にピットがあったことを思い出していた。
そう言えば、舞台上の両サイドにあった二頭のスフィンクスの行方も気になる・・・
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■ キーワード
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「新鮮さを求める大衆こそ正しい」
「追伸。付けホクロ、見るべきよ」
「BANG!」
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■ 映画の採点 ★★★★☆
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備考
100点満点で点数は★20点 ☆5点
★★★★★ 有数の傑作
★★★★ 見逃せない
★★★ 見応え充分
★★ 話題作だけど…
★ ダメだ、こりゃ…