

原題: J. Edgar
公開:2012/1/28
製作国・年:アメリカ映画・2011年
配給:ワーナー・ブラザース
上映時間:2時18分/CS/DOLBY・SRD
鑑賞日:2012/2/16 シネマイクスピアリ(S7)
監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジョシュ・ルーカス、ジュディ・デンチ、エド・ウェストウィック、ジェフリー・ピアソン、ジェフリー・ドノバン
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見る前は、思った程評判が高くないので退屈しそうだなという予感があった。
しかし、万人受けする映画ではないけれども、飽きずに鑑賞でる力作だった。
ただ、当時のアメリカ社会の知識がないと映画そのものが退屈するだろうとは思う。
物語は老年期のJ・エドガー・フーバーFBI初代長官(アメリカ連邦捜査局)が、部下に命じて半世紀余りの回顧録を筆記させながら過去と現在を交互に織り交ぜた構成で描かれる。
1924年、FBIの前身である捜査局BOIの長官に任命され、35年にFBIへと改名した後も、72年に他界するまで長官として在任したJ・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)は、約50年ものあいだ、8人の大統領に仕え、FBIを犯罪撲滅のための巨大組織へと発展させていった。
しかし、指紋管理システムや科学捜査の基礎を築く功績を残した一方、強引な手腕に対する批判や、黒い噂や疑惑が常につきまとい、その私生活は謎に包まれていた…
図書館の目録システムから始まり、共産主義者を一斉検挙するという手柄を上げ、ギャングの一掃、リンドバーグ事件、キング牧師脅迫のエピソードと、大統領ら重要人物らを盗聴し、極秘ファイルを作って彼らの弱みを握っていく背景には、母親アニー(ジュディ・デンチ)や秘書のヘレン・ガンディ(ナオミ・ワッツ)との関係や、クライド・トルソン(アーミー・ハマー)との同性愛疑惑など歪んだ複雑な人間関係が浮かび上がる。
半世紀以上に及ぶ物語を二時間半余りで描くには限界があるけれど、イーストウッドの演出は淡々とぶれずにいて“人の表面で善悪を決めると間違えるかもしれない”というテーマも包み込み、観る回数によって見方が変わりそうである。
信用できない語り手であるエドガーが、映画の終盤にクライドから「あなたは、何が真実なのか、自分でもわからなくなってしまっている」と言われ、彼の野望や葛藤の内面は単なる伝記映画にはせずに色々な解釈の見方ができる仕掛けが奥深い。
ただ、19歳から77歳までのJ・エドガーを演じるデカプリオの熱演そのものは伝わるけれど、背伸び感は否めない。
この題材をオリバー・ストーンが手掛けたらJ・エドガー・フーバーという人物を厳しく断罪するんだろうなぁと思う(^▽^;)
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■ キーワード
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「花のようにしおれないで、強くなるのよ」
「私たちの手は汚れている。お前の手も同じよ」
「道徳の低下を放置しておけば悪がはびこる。過去から学ぼうとしない社会は滅びる。歴史を決して忘れるな」
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■ 映画の採点 ★★★☆☆☆
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備考
100点満点で点数は★20点 ☆5点
★★★★★ 有数の傑作
★★★★ 見逃せない
★★★ 見応え充分
★★ 話題作だけど…
★ ダメだ、こりゃ…
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