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うまんちゅの惑星

50代。午年生まれ。夢を失い失望の連続で惑星の果てを彷徨ってる気分だが、“なんくるないさ”の気持ちで日々の出来事を綴る

アリス・イン・ワンダーランド

アリス・イン・ワンダーランド


アリス・イン・ワンダーランド


原題:Alice in Wonderland
公開:2010/4/17
製作国・年:アメリカ・2010年
配給:ウォルトディズニージャパン
上映時間:1時間49分/V/DOLBY・D
鑑賞日:2010/5/22  渋谷TOEI2

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム・カーター






“世界はもう、マトモではいられない…。”
これは映画のキャッチコピーである。

マトモとは何ぞや?

マトモに思えても、それは全然まともじゃなかったりする。
もちろん僕も社会常識からすればマトモでないのは解っている。

この映画を見終えた昨日はいろんな想念を感じた日でもあった。



実はこの作品を予告編で最初に見た時、期待感が高く、その後、数度の予告編を見た後には、スピルバーグが「ピーターパン」を題材に「フック」を映画化した時のがっかりした世界観が蘇り、ひよっとしたら“退屈でつまらないんじゃないかなぁ”という妙な不安感があった。

物語は
19歳に成長したアリスがあるパーティで、求婚を求められている最中に洋服を着た白ウサギを目撃する。
アリスはその場から逃げ出す為なのか、ウサギを追って再び地下世界のワンダーランドへと迷い込む。
そこは冷酷で独善的な赤の女王に支配されていて、アリスは帽子屋“マッドハンター”や奇妙な生き物たちに歓迎されつつも、幼い日に地下世界を冒険した記憶を失っていた…

ルイス・キャロルの不朽の名作「不思議の国のアリス」のその後の成長したアリスの新たな冒険を、映像の魔術師ティム・バートンがまるで絵の世界に入ったようなビジュアル感で描くダークなファンタジー大作。


素直に言おう
「アバター」よりも遥かに面白く感じたなぁ (*^-^)


現実への適応が出来ない空想好きの少女から大人への成長過程を通して女性の自立を描くのは、なんだかありきたりの感があるけれども、それでも奇妙なキャラクターのビジュアルやワンダーランドのイマジネーションには文句なしに楽しめたし、鑑賞する前の不安感とは裏腹に、バートンワールドに浸れることができ、面白さがサプライズのように感じたのが、40代のオジサンの素直な感想です (;^◇^;)ゝ

今までのようなバートン的なエッジが薄れ、逆に無駄なものを削ぎ落としたシンプルな世界観が輝いているようにも僕には感じる。
そしてダニー・エルフマンのサウンドもGOODだった。
ただし、アリス役のミア・ワシコウスカの魅力の無さが唯一の欠点だと個人的に思うけれども…
 m(_ _;)m ゴメン!!


今回の鑑賞は3Dではないれども、2Dでも色鮮やかで十分なバートンワールドを楽しめる。
改めて思うのは3Dで見るのは疲れるだけで、3Dに対しては今後は見るつもりはないし、興味も関心もない。





外国人や若者で混みあっている渋谷駅界隈。
劇場を出てふと散歩でもしょうと、15、6年ぶりに道玄坂からロフト周辺の人混みの中を歩きながら、
壁の陳列製品に向かい背中姿でロボットのように擦れ気味の声で呼び込みをする男性店員、歩道の石タイル上を声を発しながら数えて行き戻りする青年、水着に近い格好の女性や、横断歩道のマス目ごとに何かを拾い上げてポケットにしまう老人など、そして、そんな人々を振返ったり、目を合わせないように通りすぎるほとんどの人たち。
映画の余韻を忘れて僕の関心はそんな街の様子に向かう。
ここもある種のワンダーランドそのものなのだ。

この日は銀座まで足を延ばして歩き回った。
そして、とある交差点である青年とすれ違った時、心底、心が乱れた。
眼を合わせてはいけないという心の声と、可哀想という観念の声。
“自分はマトモなのか?”
この歪みをもった自分の精神が何かに蝕ばまれている不安感をどうしたらいいのか?と悩む。

やはり僕は壊れていてマトモじゃない…


映画を見終えて、なんだか訳のわからない感想になってしまった…






キーワード


「6つの不可能なもの」


「カラスと書き物机はなぜ似てる?」


「M」


「お前はまともじゃない。でも、偉大な人はみんなそうなんだ」







採点 ★★★★



備考

100点満点で点数は★20点 ☆5点

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  見逃せない
★★★   見応え充分
★★    話題作だけど…
★     ダメだ、こりゃ…


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幸運の25セント硬貨

幸運の25セント硬貨

「幸運の25セント硬貨」

スティーブン・キング 著 / 浅倉久志 他訳


■ISBNコード: 4-10-219336-7
■判型/総ページ数: 文庫/425ページ
■価格: 705円(税別)
■発売年月日: 平成17年11月20日 八刷
■発行元: 新潮社







ホラー小説の帝王こと、スティーブン・キングの「なにもかもが究極的」「L・Tのペットに関する御高説」「道路ウイルスは北にむかう」「ゴーサム・カフェで昼食を」「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」「一四〇八号室」「幸運の25セント硬貨」の短編物語七編を収めた文庫版。


●「なにもかもが究極的」は
 週給70ドルのお金が毎週郵便受けに届く少年は〝超越者〟としてある組織に招かれることになるけれども…

●「L・Tのペットに関する御高説」 は
 ある夫婦のお互いが飼っているペットが原因で、崩壊していく結婚生活を、夫の語り口で物語が再現される…

●「道路ウイルスは北にむかう」は
 ガレージセールで1枚の絵に惹かれたホラー小説の作家は、購入した絵が変化していることに気づくけれど…

●「ゴーサム・カフェで昼食を」は
 離婚調停の為に夫婦と弁護士がレストラン、ゴーサム・カフェで昼食会を開くことになるが…

●「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」は
 結婚25周年を祝う為に、リゾート地に向かう中年夫婦の妻が感じる〝デジャブ〟の真相とは…

●「一四〇八号室」は
 ホラー作家のマイクは、宿泊した者は必ず死ぬと言われる、いわく付きの部屋があるホテルへ取材の為に訪れた…

●「幸運の25セント硬貨」は
 ホテルのメイドにはあまりにも少なすぎる〝25セント〟のチップが、奇跡を起こす…





スティーブン・キングの作品を読むのは「ゴールデン・ボーイ 恐怖の四季 春夏編」以来で、ほとんどが映画化された作品のみでしか知らない。
タイトルに惹かれて手にはしたものの、この作品と「キャリー」は、4年近く読まずに置きっぱなし状態で、キングファンではない理由もあるが、単なる面倒くさいなぁという気分からであった…(;^ω^A

キング自身の分身を思わせる作家が主人公のエピソードは「道路ウイルスは北にむかう」「一四〇八号室」、
そして煙草や禁煙にまつわるエピソードは「ゴーサム・カフェで昼食を」「一四〇八号室」、
夫婦関係を描くエピソードは「ゴーサム・カフェで昼食を」「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」と、共通するテーマはあるけれども、各エピソードは独立した物語で、各エピソードのキャラクターは細かく描かれているけれど、表現がまわりくどいし、物語のテンポがかったるいなぁというのが全体の印象だ。

スプラッター映画みたいな惨劇のエピソードはキングらしさを感じるけれど、奇跡を起こす暖かさが感じられるエピソードでは、受けての僕の感性が悪いのか、グッとくるものは薄かったのかなぁ。

七編のなかでは「道路ウイルスは北にむかう」「ゴーサム・カフェで昼食を」の二編が映画的なイメージが浮かびやすい面白さを感じる。


因みにスティーブン・キングの原作を映画化した「ショーシャンクの空に」「ミザリー」が個人的に好きな作品である。





印象に残るキーワード


「煙草」

「きいいいいいいっ!」

「苦難の日々が始まるのだから」

「これはこーうんの二十五セント硬貨です! 本当ですよ! ひゅう、きみはついているな!」




本書の採点  ★★★



備考

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  読み応えあり
★★★   まぁまぁかな~
★★    思ったより期待はずれ
★     ダメだ、こりゃ~


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有明ビッグサイト前にて

昨日の早朝、
有明ビッグサイト前にて遭遇。

有明で

ドアに書かれているのは琉装の絵と、
「花傘人形が踊る頃 ワッパ片手に汗をふく つかれても知ぬやし やんばる育ち」の文字。

奈良ナンバーのトラックで、なんとなく何処かで見た覚えがあり、記憶を辿っていくと、
1年半前に大井埠頭で見かけたトラックだった。
その時は「ヤンバル 今帰仁」の文字しかなかったけれど、描かれている絵は、素人の手作業って感じがするのはなんとなく微笑ましい。


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DVDが3枚で3000円 (その3)

先週末、夕食をすませた後にショッピングモール内の新星堂へ立ち寄った。
いつものようにDVDを選別していると、心拍数が跳ね上がった ヾ(*゚Д゚)
( 心拍数が跳ね上がっても、現在も血圧の高い状態が続いている僕にとっては多分影響はないと思う… )

僕は瞼を擦りながら、もう一度通り過ぎた視線の先を戻した。
そこにあったのは長年探し求めていた「マッドマックス」のDVD。
ぉお!!! ?(゚〇゚;)マ、マジ...


DVDが三枚で3000円 (その3)


懐事情が悪くて、収入があるまでしばらくは待とうかなと悩んだけれども、DVDが3枚で3000円のキャンペーンを利用して「マッドマックス」「マッドマックス2」を選び、シリーズの中で出来の悪い「マッドマックス サンダードーム」を除いて、代わりに「シザー・ハンズ」を購入した。
店員の在庫限りという一言があり、買っておいて良かったと思う。

しばらくはDVDで映画を見る環境を持てないのにもかかわらずに、昨年暮れから映画のDVDを買い漁っているけれど、この日ばかりは胸がときめいたのは言うまでもありません
( 胸がときめいても、現在も血圧の高い状態が続いている僕にとっては多分影響はないと思う…くどくなってごめんなさい (^w^) )

「マッドマックス」と同様に、何時になるかは分からないけれども、
「ストリート・オブ・ファイヤー」、「ギルバート・グレイプ」、「ミッション」、「ミッドナイト・ラン」、「ガープの世界」、「サンフランシスコ物語」の作品も見つかるといいけどなぁ ??(゚o゚; ) キョロキョロッ ( ;゚o゚)??



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プレシャス

プレシャス


「プレシャス」


原題:PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL “PUSH” BY SAPPHIRE
公開:2010/4/24
製作国・年:アメリカ・2009年
配給:ファントムフィルム
上映時間:1時間49分/V/DOLBY・D
鑑賞日:2010/5/7  イクスピアリ(S10)

監督:リー・ダニエルズ
出演:ガボレイ・シディベ、モニーク、ポーラ・パットン、マライア・キャリー、レニー・クラヴィッツ




舞台は
1987年、ニューヨークのハーレム。
クレアリース“プレシャス”ジョーンズは16歳の中学生。
肥満体で、両親から虐待を受けて生まれ育ち、二人目の子供を妊娠。
文字の読み書きも出来ない。
現実逃避からの妄想癖が、彼女の僅かな希望。
しかし、学校を退学させられ、フリースクールに通い始めたプレシャスは、一人の教師との出会いによって変わっていく…


映画は実話を基にした映画ではないけれど、子供たちへの肉体的精神的の性的虐待は、今も社会の隅っこには当たり前のようにあって、ごく中流の人々は他人事のように“私でなくて良かった”とか、こういう話題から目を背けてしまう醜い話。
一昔ならお涙頂戴の映画になっただろうけれど、詩的な映像感があって、見終わった後には絶望感の伴う重さが残らないのが救いである。
女性が主役で男は影がない。


経済的に豊かでないと、人は品性まで堕ちて行くのだろうか?
絶望的環境、絶望的な親子の絆、そして負の連鎖。
それでも、教育は光であり、希望である。
常に学ばなければ、品性は止まってしまう。

男は理解しないから問題は絶えない。
これも1つの女性解放の映画である。

母親役のモニークとソーシャルワーカー役のマライア・キャリー、そして教師役のポーラ・パットンの演技は上手い。
本年度のアカデミー作品賞を含む6部門にノミネートされ、助演女優賞(モニーク)と脚色賞(ジェフリー・フレッチャー)の2部門を受賞。

しかし、映画を見終わったあと、本編前の予告で見たセックス・アンド・シティ2の能天気差の対比がふと思い浮かんだのは救いなのか?、それとも、マイナスなのであろうか?






キーワード


「すべては宇宙からの贈り物」


「自分の名前と好きな色を教えて」


「すべての、いとおしい女の子たちへ」







採点 ★★★



備考

100点満点で点数は★20点 ☆5点

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  見逃せない
★★★   見応え充分
★★    話題作だけど…
★     ダメだ、こりゃ…


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分析

4月上旬から約1ヶ月間、僕の血圧は相変わらず高い状態をキープしている。
ただ、動悸はほとんど収まり、頭痛も今のところ感じられない。
暴飲暴食は避けてきたし、運動のほうも一般的にやっている方だと思う。
どうしてこういう変化が起きたのだろうか?と自分なりに分析してみると、次の理由が浮かぶ。

一つ目の理由は
沖縄を離れて、約10年に及ぶ現在の無謀なライフスタイル。

二つ目の理由は
コンビニや外食中心の食生活。

三つ目の理由は
根本的に体の何処かが壊れ始めていること。

四つ目の理由は
タバコは吸わないし、酒も少ない方だけれど、コーヒー(昔からブラックが中心)が好きで、水分が少ない事。

五つ目の理由は
スキー。
今年も強行日程の日帰りスキーをしたのだけれど、朝から夕方まで余裕のない滑りをした挙句、休息も取らずに長時間の運転などでの、疲労の蓄積…。


六つ目の理由は
周りに綺麗なお姉さんや誘惑が多くて、無意識的に自分の本能を抑えてきた感情が制御不能になった事…


以上、六つの理由が考えられるけれど、どれも該当しそうだと思う。
父系の家系はやはり血圧が高いらしいので、遺伝性も考えられる。
病院での内科での検査と採血結果では特に指摘される問題はなかったが、医者が言うにはストレスが1番の要因では?との事。(この説明も何だかなぁって感じ(?_?))

とりあえずは様子をみながら、
GYMでのウェイトトレーニング主体のメニューからジョギングや水泳中心に変更して、食生活も意識的に野菜ものにして、後は水分を多めにしてみようと思う。





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ハート・ロッカー

ハートロッカー


「ハート・ロッカー」


原題:The Hurt Locker
公開:2010/3/6
製作国・年:アメリカ・2009
配給:ブロードメディア・スタジオ
上映時間:2時間11分/V/DOLBY・D
鑑賞日:2010/5/1  シネマメディアージュ(S9)

監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ



イラクのバクダット周辺で活動する米軍の爆発物処理班。
彼らの任務は、他の部隊に比べて戦場での死亡率が5倍も高く、死に最も近い兵士達である。
来る日も来る日も爆弾処理に従事するブラボー中隊に、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹が参入した。
彼はまるで死に対する恐れが全くないかのように爆発物の前で振舞うが、中隊の仲間達は徐々にジェームズに対して不安を募らせていくことになる…

瞬間瞬間に命を懸けている兵士たちの緊張感を描き、本年度アカデミー作品賞、監督賞を含む6冠に輝いた話題作。


僕は普通の人達と比べて、どこかズレていることは“薄々”感づいていたけれど、やはりこの映画を見終わって、改めて自覚した思いだ。
時折評価の高い作品を見ても、僕にはどうも納得しがたい想いを抱く事が多々ある。
この「ハート・ロッカー」は数々の映画賞を受賞していて、公開前からかなりの期待感を持っていたにも関わらず、何だか不完全燃焼の気分だった。
確かにオープニングの十数分は緊張感があり、これはいけるなぁと思ったけれど、手持ちカメラによる粒子のある映像は、ドキュメタリータッチの臨場感がリアリティを生んでいるけれど、物語が進むにつれて、これまでのキャスリン・ビグロー作品の圧倒的な演出力に比べて、散漫になっていくように感じられるのだ。

爆弾処理班という特殊な任務を遂行する兵士達の恐怖や不安をえぐり出す心理描写と、スーパーでシリアルを選ぶ姿、そして幼い息子に語りかけるジェームズの描写でも、この主人公の神経崩壊を込めた意図になると思うが、僕には響かなかった。
もちろん映画を鑑賞した当日の体調のせいかなとも思うけれども。

比べるのが可笑しいけれども、先日鑑賞した「第9地区」のほうが僕には向いているらしい(笑)
しかし、こういう感覚しか感じないって言うのは、一種の平和ボケ症状だろう。

今でも沖縄では不発弾処理は行われているのだろうか?
小中学生の頃には毎年不発弾処理の為に、年に数回は避難行動をしていたことを思い出す。

米軍のイラク侵攻以降、日常のニュースなどで爆弾テロによる数十人規模の死亡がひっきりなしに伝えられているけれど、この国自体不感症に陥っている現状で、我々にとっても身近ではない他人ごとのようだが、イラクやアフガンの実態が少しでも伝われば、この作品が製作されたことに意味はあるだろう。

ただ、あまり有名でないキャストのジェレミー・レナー、アンソニー・マッキーの二人は今後注目したい俳優ではある。


僕の人生を左右してきた映画も“麻薬”だと思う。
この作品にこういう感想しか持てないのも中毒症状なのかなぁと思う。 (-_-;ウーン





キーワード


「戦争は麻薬だ」


「年を取ると、大好きだったものを忘れていく」


「873」





採点 ★★★☆



備考

100点満点で点数は★20点 ☆5点

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  見逃せない
★★★   見応え充分
★★    話題作だけど…
★     ダメだ、こりゃ…


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死神の精度

GWの出だしとしては、まずまずの天気になり、僕も多少浮かれ気分だ。

沖縄だと毎年GWは雨続きの天気が多くて気分も滅入るけれど、都内は透き通った青空ではないけれど、穏やかな空気感が気持ちいい。

連休の渋滞情報を見ていると大変そうだが、この時期繁華街を除けば、都内は以外に人が少なく落ち着ける。

連休は読書と映画を楽しめればと思う。




死神の精度


「死神の精度」

伊坂幸太郎 著


■ISBNコード: 978-4-16-774501-1
■判型/総ページ数: 文庫/345ページ
■価格: 524円(税別)
■発売年月日: 2008年2月10日(第1刷)
■発行元: 文藝春秋








死神の名は千葉。
それぞれの人間に合わせて、死神自身の姿や年齢を変えて現れるけれど、名前は変わらない。

彼が現れると周りはいつも雨天続きになる。

死神の彼が素手で人間に触れると、人間は気絶し寿命も一年間縮まってしまうので、手袋は欠かせない。
彼は音楽をこよなく愛し、渋滞を嫌っている。
彼の仕事は、あちらの世界から人間界に派遣されて、死の対象者を七日間の調査の上で観察して、“死”の可否の判断を下す事だけ。
そして、死の可を下した翌八日目には必ず死が実行されるのを見届ける事。

死神の千葉が出会う、六つの人生を、「死神の精度」「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」の六編に収めた、伊坂幸太郎の長編のような短編小説。



●「死神の精度」は、大手企業に勤める電話対応での苦情処理係の女性は、ストーカーの顧客に悩まされていた…

●「死神と藤田」 は、仲間を殺された任侠の中年男と弟分が、敵のアジトに乗り込んでいくが…

●「吹雪に死神」は、あるリゾートペンションで起こる連続殺人の真相は…

●「恋愛で死神」は、ハンサムなのに、わざと、ダサい眼鏡をかけている青年の片思いを描く…

●「旅路を死神」は、母親を刺した後、路上で見知らぬ男を刺し殺した青年が、逃避行の末に見せた過去とは…

●「死神対老女」は、美容院を一人で営む老女は、訪ねて来た死神の正体を知っていた…



それぞれのエピソードには、死神の千葉という男が登場して物語は進む。
本編最後の「死神対老女」が、一部他のエピソードとリンクしているのを除けば、六編各エピソードは独立した物語。
各編の時間軸がずれていて繋がっていないのは、時間という概念を超越した死神だからでしょうか。
死神、千葉のキャラクターはクールでズレていて、映画などで地球にやって来る宇宙人ぽい設定だけれど、
各編の人物との絡みでも、ズレている会話の割りには上滑りの感があり、僕には笑えなかった。


この「死神の精度」は、読む前にはかなり期待度が高かったけれど、なんだか肩透かしを味わう読後感になってしまった…

さらさらと読めるんだけれど、響かないんだよなぁ…
深みが感じられないのは、死神、千葉のキャラクターに共感が沸かないせいだと思う。
前回、伊坂幸太郎作品を初めて読んだ「チルドレン」が良かっただけに、残念である。
ホントにワクワク感を期待していたんだけど、想像していたのと違い、何だかなぁって感じだ…(泣)

まぁ六編の中では、「恋愛で死神」と「死神対老女」の二編が良かったのかなぁ…


因みに、
CDショップでヘッドホンで視聴しっぱなしの変わっている人は、死神さんの可能性がありますので、くれぐれも近寄らずに観察して見てね…(;^ω^A






印象に残るキーワード



「ミュージック」


「俺が仕事をするといつも降るんだ」


「可」


「生まれてくる前のことを覚えているかい?」





本書の採点  ★★★



備考

★★★★★ 有数の傑作
★★★★  読み応えあり
★★★   まぁまぁかな~
★★    思ったより期待はずれ
★     ダメだ、こりゃ~


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