

「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」
佐野真一 著
■ISBNコード: 978-4-7976-7185-8
■判型/総ページ数: 四六判/656ページ
■価格: 1,995円(税込)
■発売年月日: 2008年9月30日
■発行元: 集英社インターナショナル
昨日今日と空が高く、青々とした天気で気分がいい。
しかし週末から体調を崩していて、酒を控えつつおとなしくしているのが悔しい。
映画も控えつつ、読み残した本を読むしかないが、しかし…
あまりにも空が青いので、夕方危険を冒して飲みに行こうかなぁと…思考中である
書店で平積みされていてインパクトのある装丁に釘付けになったのが
「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」である。
内容は佐野真一が「月刊PLAYBOY」に連載した「沖縄コンフィデンシャル」を再構成した、戦後の沖縄を“天皇・米軍・沖縄県警”“沖縄アンダーグラウンド”“沖縄の怪人・猛女・パワーエリート”“踊る琉球、歌う沖縄”“今日の沖縄・明日の沖縄”を切り口に、オールラウンドに取材したルポルタージュである。
戦果アギヤー、沖縄経済界四天王、瀬長亀次郎、宮城嗣吉、宜保俊夫、大山朝常、野底土南、中村晄兆、海燕ジョーの奇跡、米軍、軍用地主、ダイエー、奄美大島、金門クラブ、山中貞則、上原栄子、普久原朝喜、沖縄アクターズスクール等…
キジムナー以外は奇人変人も分け隔たりなく登場する。
沖縄ヤクザのルーツを綴るアンダーグラウンド部分は、島独特の血が濃いせいに“野蛮”と呼ぶありさまの凄さは沖縄版“グッドフェローズ”や“ゴッドファーザー”のイメージである。
僕の世代は丁度戦後から現代へのグラデーション世代にあたり、読んでいて当時の懐かしさ、そして場末の匂いの記憶を思い起こし、中だるみせずに一気に読み終えた。
しかし、本書に登場する関係者は墓場まで持っていく深刻な性分を持ち合わせていないのだろうか?南国特有の気性なのか、著者の人柄なのか、関係者の口が軽いのには呆れるばかり
ヽ(´・`)ノ フッ
個人的には「沖縄コンフィデンシャル」のタイトルでよかったのではないのだろうか?
仰々しい本書のタイトルはあきらかに間違いだと思う。
因みに、二週間程経ったある日に書店に立ち寄るとこの本が見当たらず、引き上げられている様子が窺えるのは、不評なのか、売れていない様子である。
真実はともかく戦後の沖縄の一面の事実を書き留めた佐野真一には敬服せざろうえない。
印象に残るキーワード
「物呉いしど、我御主(ムヌクイーシド、ワーウシュー)」
「沖縄は島ではなく、国だったわけです。ところがいまは、手を広げ口をあけて(日本からの補助金を)待っているだけの受身の島になってしまった。かっての琉球王国は、ボロ船に乗って隣の国に行って貧乏なかわいそうな国だと思わせながら、帰りは豪華な船に乗って帰ってくるようなしたたかな国だった。そういうしたたかさが、まったくなくなってしまったのが現在の沖縄です。ところが“血”だけは残っているわけですよ」
「僕が面白いと思ったのも“血”なんです。みんな混血であることを隠しているけれど、スペインから渡ってきた血や、南方から渡ってきた血がごちゃごちゃに混ざって、突然ヘンなのが出てくる。日本はせいぜい蒙古とのからみがあるくらいだから、みんなのっぺりした顔で生まれてくるけれど(笑)、こっちは何が出てくるかわからない。それと、やっぱり(沖縄人がもっている)空気が違う」
「この人に会ったんですけど、凄いですよ。そんなに体はでかい人じゃないんだけど、何人か空手で殺しているんですよ。人を殺した人間っていうのは目の色が鉛色なんですね。睨んでいるんじゃないんだけど、人の顔をジーッと見てるんです。その目つきの怖さといったらね、震えあがりますよ」
「おい、よく見ておけ、アメリカはこんなことをする国なんだ。でも、日米地位協定の壁に阻まれ、結局迷宮入りにさせられた事件が多かった。これはその証拠写真だ。オレにはもう用がなくなった。お前は新聞記者だろ。この写真のことを時々思い出していい仕事してくれよ」
本書の採点
★★★★
備考
★★★★★有数の傑作
★★★★読み応えあり
★★★まぁまぁかな~
★★思ったより期待はずれ
★ダメだ、こりゃ~
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